いつか君に

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雅人が他の面々を起こして、リビングに連れてきた。

本当はダイニングテーブルで食事をするのがいいのだろうけど、なんせ男が7人も居るのだ・・・ リビングにあるテーブルと予備のテーブルを並べて、即席の食事場をつくった。

テーブルの上にはさまざまな料理が並ぶが、基本的には消化によさそうなものが 所狭しと並ぶ。

男たちは、呆然と料理をながめていた。

金髪の男だけは、一足先に食べていたため、ソファーで寛いでいた。

他の男たちは寝起きであるにも関わらず、しっかりと意識が覚醒されていた。

若干風邪の為か体調が良さそうではない。

男たちは行儀よく座り、お互いに顔を見合わせると雅人のほうを見た。

その視線に気がついた雅人が、やれやれといった感じで食事の準備をしている真奈美に声をかけた。

「なにか手伝おうか?」

「ん〜・・。後はこの皿運ぶだけなんだけど、料理こんなもんでいいかな?」

そういいながら真奈美が手に持っていたのは、いかにも洋食屋さんで出されそうな朝食用のプレートだった。

この朝食プレートは他でもない雅人の朝食である。
一緒に暮らしていても生活習慣が違う二人だが、特別のことが無い限り真奈美はこうして雅人の朝食を用意していた。
雅人の好き嫌いを考慮したものである。

「かなり十分でしょ。ありがとう。」

雅人は真奈美からプレートを受け取った。

「それで、一応こいつ等の名前教えるから・・・。まぁ覚えれなかったら アレとかソコノとか、適当に呼んで。」

雅人がそこまで言うと、周りからわずかにブーイングが起こるが、気にも留めないで 話を続けた。

「昨日一番初めに連れてきたやつは覚えてるよな?」

雅人は念のためといった感じで真奈美に聞いた。

真奈美は一人がけ用のチェアにすわり、昨夜一番初めに来た男”リョウ”をみた。

「リョウって人でしょ?それくらいならまだ何とか・・・。」

コの字型のソファーに7人の男たちが座っているが、一番端がリョウだった。

反対側の端が金髪の男でその隣が雅人であった。

「正解。じゃぁ、リョウの隣から、ユキ、キョウスケ、コウタ、ツバサ・・・。 それから、トシヤ・・・・。まぁこんなもんだろう。あとは聞きたいことがあれば、本人達が答えてくれるし、 どんな風に呼んでもいいって言うのはこいつらに了承済みだから、気軽にこき使って。」

「あ〜うん、わかった。・・・・えっと坂本です。よろしく。」

皆の名前しっかり覚えれるか、自信ないなぁ〜。後でカンペ用意しよう・・・・。

「坂本・・・なに?」

トシヤが聞いた。

「え!?・・・なにが?」

「だから、名前」

「坂本真奈美です。」

「・・・・ふ〜ん・・。じゃぁ真奈美ね。敬語とかナシで。」

「はぁ・・・。」

なんでこいつはこんなんに偉そうな訳??キィーなんか悔しい、そうだ!! 「じゃぁ、貴方はトシちゃん・・・もしくは変態で。」

  ・・・・・・・・・・・・・・・・  「「「「「ブッッハハハハハハ〜〜〜」」」」」

「苦しい〜ウケル・・。」

「変態かぁ・・・ハッハッ」

「自業自得」

トシヤ以外の男たちが一斉に笑い出した。真奈美も一緒に笑い、和やかに(!?) 朝食が開始された。


リョウ、ユキ、キョウスケ、コウタ、ツバサ、トシヤ・・・なんだか変わった人たちだけど、なんとかんるでしょ

真奈美はそれぞれに料理を取り分けながら今後ことを考えていた。



いくら、広いマンションの一室であっても、8人がプライベートな空間を持つのは 無理であり、部屋割りをどうするかという話になった。

昨夜は、リョウが一人個室で後の5人はリビングと続いている和室を使ったのだが、 トシヤだけは途中で目を覚まし、真奈美のベットに潜り込んだのだ。

結局、和室とリビングの一部で固まって寝ることになった。

そのほうが、真奈美がそれぞれの様子を看やすいとのことで、決定になった。

それぞれが寝る場所は、体調で決めたがトシヤだけは有無わ言わさず和室の一番奥になった。

リビングを間仕切りで仕切ると、真奈美は手早く6人分の寝床を準備した。

一見平気そうにしていたが、熱を測ってみると、みんな思いのほか高熱であったのだ。

無論病院にいくことも進めたが、誰一人として同意しなかった。

朝食で、大分打ち解けられた為か、雅人以外の6人とも気兼ねなく話せるようになった。

6人が和室にやってくると、用意されていた布団に絶句した。・・・・布団の目に付きやすいところに、大きく名前を貼り付けたのであった。

「本当なら、起きたときもわかり易いように名札でも着けてもらいたいんだけど・・・。」

6人は苦笑いでそれぞれの名前ついている布団に包まった。

それぞれの布団と布団の間には簡易の間仕切りがある為、ある程度はプライバシーを尊重されている。

真奈美は、布団に包まっている6人を見つめて、これからどうするか考えていた。
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