いつか君に ― 25 ― 雅人はそういうと昨夜の事を説明した。 「俺が帰ってきたとき、リビングで真奈美が寝てて、寒そうだから運んでやっただけ。」 雅人はサラッと昨夜の事を説明した。 「運ぶなら、真奈美の部屋に運べばいいだろ?」 ツバサはムキになって雅人に詰め寄った。 「何で?俺は真奈美と一緒のほうがいいんだけど。」 雅人も平然と言い返した。 「お前が一緒に寝て何もしないわけ無いだろ?」 キョウスケが雅人に問う。 「約束は守って貰わないと」 口調は落ち着いているが声に怒りを含んでユキは雅人を見据えた。 「ちょっと待って!勝手に話を進めないでくれる?約束ってなによ?それに、運んでくれたのはありがたいけど、 私は一緒に寝なくてもいいんですけど・・・。」 言い合いを始めた7人を制すべく真奈美が声を荒げた。 「で、雅人いい加減話なさい。」 「・・・・。」 「雅人!!!」 真奈美はものすごい勢いで詰め寄る。 「もし、昨日一日で真奈美を泣かせるほどいやな目に合わせたら、今すぐにここから追い出すってこと。」 雅人がこたえるより先にユキが真奈美の質問に答えた。 「・・・・・はぁ?」 真奈美は目を見開き呆れた。 意味が分らない。 何で私が泣かされる?大体こんな初対面の人たちになぜ? 真奈美の頭の中には「なぜ?」の二文字が咲き誇っていた。 実際に男達で交わされていた約束には、これに続きがあったが真奈美には知る由も無かった。 「真奈美の疑問が解けたところで、二人の関係はなんなの?」 釈然としないままの真奈美に話題を変えるかのごとく、コウタが問う。 「はい??」 いきなりのコウタの質問に真奈美はキョトンとした顔を見せた。 「なにって、前もいったじゃん?友達だよ?ねぇ?」 真奈美は確認の意味を込めて雅人の方へ同意を促す。 「・・・。」 雅人は真奈美の視線に気が付きながらも答えようとしない。 「雅人?どうかした?」 真奈美の問いに雅人は軽く頬へんでから言葉を発した。 「せめて元彼って言ってよ。」 「「「はぁ」」」 数人が驚いたような声を上げるが、真奈美は少し呆れた顔をしていた。 「元彼って・・・・一体何年前よ!」 張り裂けそうな空気の中真奈美のなんとも呆れた声が響く。 確かに雅人と付き合ってたっていったらそうだけど、今更わざわざ言うこと?? まったく今日は意味の分らないことが多いなぁ・・・。 「何年前でも事実は事実じゃん?」 「それはそうだけど・・・。」 「物忘れの激しいお前が忘れてないだけでもある意味すごいじゃん。」 「うっ・・・確かに私は人の顔とか名前とか覚えるの苦手だけど・・・。」 「そうだよ、クラスメイトでさえ覚えないからな。」 「・・・そんなにバカにしなくてもいいじゃん。」 「バカにしてるつもりは無いけど??」 「十分バカにしてるーーー。」 「おい・・・。話がずれてる」 真奈美と雅人の言い合いに皆半ば呆れていたが、キョウスケが二人の会話を止めた。 真奈美があっと我にかえるが雅人にはそれほど変化が無い。 「元彼ってマジで?」 トシヤが信じられないっといった感じで真奈美を見つめる。 「う〜ん。まぁね・・・。」 「何で元彼と暮らせるわけ?」 「ま、待って。落ち着いて」 トシヤが真剣な目で真奈美を見つめる為真奈美は困ってしまった。 「私たちが付き合ったって言っても・・・ねぇ・・・。かなり昔のことだし・・・。」 「昔って言っても付き合ったんだろう?」 リョウが鋭い視線を向けて真奈美に問う。 辺りにはより一層重い空気が流れた。 そんな空気の中雅人だけはいつもと変わらなかった。 |