いつか君に

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真奈美はふと時計を見た。時刻は深夜2時を過ぎていた。


なんだか変な感じ・・・。まだ1日しか彼らと過ごしていないのに、いろいろあったもんなぁ・・・。

それにしても雅人は今日も遅いな〜今更だけど雅人の仕事ってイマイチ分らないんだよね。
ホストがしょうにあっていたみたいだけど、今は友達と共同出資で店を持ってたりするらしいけど、どうもそれだけじゃないらしいし・・・。
まぁ今更深く聞く必要も無いと思うし、お互い必要以上の干渉は良くないでしょ。

 それより、彼らと雅人はどういった知り合いなんだろう???歌舞伎町関連ってのはなんとなく理解できたけど、良くわからない。
 今まで、この部屋に友達とか知り合いが来たことないし・・・と言うよりも彼らを放っておいていいのかな??
自分の知り合いなのに何の接触もなしってどうよ。 ってか、私が彼らと仲良くなってどうするんだ!!!

そうだよ、流れでとはいえ、服買ってもらって、ご飯おごって貰って、・・・・キスされて・・・・、そもそも勝手にキスするか!?普通しないだろう!!あ〜〜〜 思い出したら腹が立ってきた。
まだ出会って24時間くらいなのに、キスはないでしょ!そりゃぁファーストキスじゃないにしたって、ひどくない!?

それに、何でわざわざ彼らのこと知る必要があったのかな?そりゃあ、一緒の空間に住むって言ったらある程度は気になるけど。深く関わっていいのか いまいち分らないんだよね。

しかも!アノ6人と一緒にいると非常に目立つ。やっぱり皆美形だもんな・・・。芸能人だってびっくりの顔だよね〜。 目の保養としては最高!!
だけど、一緒にいると周りの視線がレーザービームのように突き刺さるから本当にイタダケナイ。

そもそも、これだけの容姿だもん看病したいって言う人が沢山いるんじゃない!?彼女とかさぁいいのかな? う〜〜〜んわかんないなぁ。

結局のところ、私が知ってるのって些細なことばっかりなんだろうな。

真奈美は考え込みながら、洗濯や片付けを済ませた。


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一度引き受けたことはしっかりやり遂げよう!
真奈美は気合を入れて、一足先に眠った6人の元へ向かった。



みんな薬は飲んでくれたけど、体調はどうなのかな。
やっぱりトシヤが気になるなぁ・・・さっきもかなり熱があったみたいだし。

真奈美は和室の一番奥のトシヤの元へ向かった。


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真奈美は和室にそっと足を忍ばせて入っていくと、一番奥の方へと向かった。
幸いなことに、照明の明かりがついていたため薄っすらと周りを把握することが出来た。

トシヤの枕元にそっと腰を下ろし顔を覗き見た。 顔色が把握できないが、呼吸の様子や咳き込む様子から体調が悪いのは感じられる。

こんなになるまで無理すること無いのに・・・。

真奈美はそっとトシヤのおでこに触れた。

・・・・熱い!!!

真奈美が触れたときに、トシヤの体がビックと反応した。
そして、閉じられていた瞼が薄っすら開かれてた。

「起こしちゃってごめんね・・・。大丈夫?辛くない?」

真奈美はトシヤの耳元で小さく尋ねた。
そして持っていたタオルで顔や首回りの汗を丁寧にふき取っていった。

「ありがと。」

トシヤの弱弱しい声が返ってくる。

「俺、今ものすげー情けない・・・。かなりみっとも無い。」

消え入りそうな声でトシヤが呟く。

「具合が悪いんだから無理しないでね!?」

真奈美はそう言いながらトシヤの頭を優しく撫でた。

昨日あったときは、ナンテ奴!って思ったけど、こんな弱ってる姿見てると放って置けないよぉ・・・。
う〜〜〜ん、それにしてもこの顔に、アレを使うのは気が引けるけど・・・。まぁしょうがない!!

真奈美が意を決して取り出したのは、おでこに貼るタイプの冷却シートであった。

「すこしつめたいけど、我慢して」

真奈美はそういうと、冷却シートをトシヤのおでこにそっと貼り付けた。

トシヤって・・・明らかに美形でホストですって感じなのに、こんな弱ってるところはなんだかカワイイかも。 それにこの冷却シート、それすら様になるってどうよ!?

「何かあったらすぐに声かけてね?」

真奈美がトシヤにそっと告げる。



「もう少しだけ・・・・・・・側にいて。」



トシヤの消え入りそうな声が真奈美の耳に届いた。


「うん。いいよ。」


具合の悪いときとかって、誰かに側にいてもらいたいって思うことあるもんね。
昔私もそんなことあったし・・・。

真奈美はトシヤの頭を優しく撫でながら、ふと懐かしい思い出に思いを馳せていた。



「なぁ・・・・そんな顔すんなよ。」

物思いにふけっていた真奈美にトシヤが熱を帯びた目を向けた。

「・・・え!??」

「・・・お前今凄く泣きそう。」

真奈美は言葉に詰まっていた。薄暗い照明が付いているこの部屋ではお互いの顔色を見るのは難しいが、目が慣れてくるとその表情ははっきりと分った。

トシヤは真奈美の手に自分の手をそっと重ね、優しく握り締めた。

「・・・・」

真奈美は返す言葉が見つからなく、無言で黙った。目線を先ほどよりも下に落とした。

何か、言わなきゃ。さっきからそう思ってるのに言葉が出ない・・・。



「ごめん、困らせるつもりは無かった。・・・・これ今は以上聞かないから、もう少しここにいて。」

沈黙を破ったのはトシヤであった。

「わかった」

真奈美は小さく返事をすると、トシヤの方に顔を向け僅かに微笑んだ。

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