いつか君に

― 2 ―


人と人の出会いは偶然であり、必然である。


君との出会いを、運命の必然にする。


どんな手を使っても・・・。




********************





皆様、おはようございます。朝からお騒がせして申し訳ありません。
私は「坂本 真奈美」身長156cmくらいのどこにでもいるような女です。(一応主人公)
容姿は可もなく不可もなくといったところ、若干年齢より若く見られることがあるくらいです。 単なる童顔で色気ナシというのが正しいでしょう。
年齢!?そんな野暮なことは聞いちゃいけません。だって女の子ですから。(いずれわかることですが)
人間秘密が多いほど魅力的ってことで、勘弁してください。


そうそう、朝から騒いでいた原因についてですが・・・。

「なぁー腹減ったんだけど。」
キッチンカウンターからこちらを覗き込み声をかけてきた。

はぁ〜〜〜〜。



真奈美は、ようやく頭が働いてきて、昨日もとい今日のことをすっかり思い出した。
昨夜2時過ぎ、派手なインターホンラッシュで眠りを妨げられた。
ここは都内のとあるマンション。理由あって友人の雅人と暮らしている。
もともとは友人の所有するマンションなのだが、お互いの生活リズムが違うため、一ヶ月の内半分も顔を あわせることもなく過ごしている。
一人暮らしでは広すぎるほどの室内にいい感じにデザインされたインテリアなど、いったいいくらかかっているのか 見当もつかなければ、友人に聞くこともない。
友人に対して部屋代を払っていない、言わば居候である。もちろん払うと言ったが、速攻で却下されてしまった。

玄関に向かうと友人が鍵を開け入ってきた。
「おかえり、ってか鍵あるならなんでインターホン鳴らすのよ・・・。」
ドサッ・・・。
「ちょっと、こいつ何とかして」
友人は肩にもたれ掛かっていた人をその場に下ろした。
きつい香水と、タバコ、それからお酒の匂いがした。
「誰これ?酔っ払い?」
「そいつは、りょう。少しは酔ってるかもしんないけど、もともと風邪の方がひどいと思う。 38度超えてたらしい。」
「38度超えてたって、大丈夫なの?かなり熱いし、意識なかったりしない?病院は?」
そういいながら真奈美は、りょうと呼ばれた男の顔をのぞきこんだ。
「ここにつれてくる前に、病院に行って診てもらった。よく休ませてくれって。」
「そう・・・。」
そういいながら友人はゲストルームにリョウを運んだ。 雅人は180cmくらいの身長だが、雅人に運ばれているリョウも同じくらいの身長に思われる。

ここはもともと雅人の家なので、雅人が連れてきた客を泊めないわけにはいかない。
真奈美はゲストルームのベットメイクを手早く済ませた。

雅人との共同生活をしてまだ間もないが、客を連れてきたのは今日がはじめてであった。

リョウはブラックのスーツを着ていたが、このまま寝せるわけにはいかず雅人から着替えをかり、 なんとか覚醒させ着替えてもらった。
リョウが着替えている間、真奈美は体温計やら氷枕、タオルなどを手早く準備していった。
そうこうしているうちにゲストルームから雅人が姿を現した。
「俺、もう一回出かけなきゃなんないんだけど・・・。あいつ頼むな。」
・・・・へ?出かける?リョウって人はどうすんの?
呆然としている真奈美に雅人は続けて言った。
「あいつ悪いやつじゃないし、とりあえず頼むわ。」
そういいながら玄関のほうへ歩き出した。
「ちょ・・まって。頼むって。へ?・・・あの・・・」
まだパニック状態の真奈美は必死に言葉を探そうとするが続かない。
「じゃぁ。そーゆーことで。なんかあったら携帯ならせよ」

そして何がなんだかわからないうちに”リョウ”と呼ばれた人と真奈美は二人っきりになった。
リョウがどんな人物なのかわからないけど・・・、雅人のお友達だよね。
しかも具合悪いんだし、意識も絶え絶えだし放っておけないし。

よっしっ!!
真奈美は氷枕などの看病セットを手にゲストルームのドアを開けた。
「失礼します」
一応声を掛けてみるが、返事はない。
真奈美はベットの枕元に近寄り床に膝をつき、リョウの顔を覗き込んだ。
リョウは綺麗な黒髪に透き通るような肌をしていた。今は熱のせいか幾分か赤くなっているようにもみえる。
顔のパーツはどれも綺麗に並べられており、真奈美は一瞬その顔に目を奪われてしまった。

この人が微笑めば、綺麗だろうな・・・。とぼんやり考えていたとき、リョウの目が薄っすらと開かれた。
「・・・」
リョウはじっと真奈美を見つめていた。
真奈美はことの成り行きをリョウに説明して休んでもらおうと思い、口を開いた。
「あ〜〜あの。・・・へっ・・・・・・・」

   ちゅっ・・・。

真奈美が説明しようとしたとき、リョウが少し体を起こし真奈美の右腕を引っ張った。
そして、キスをしたのだ。

ちゅっ!?って・・・へ???
急に引っ張られたと思ったら、何?何なの?

いつの間にか、右腕は解かれ真奈美は呆然とそこに座り込んだ。
リョウはというと何事もなかったようにすやすやとベットに寝ていた。

ゆ・・夢か・・・。さっきキスされたよね!?
戻る / いつか君に TOP / 進む