いつか君に

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「ねーコウタ?イマイチ意味がわからないんだけど??」

真奈美は今の自分の状況判断が出来なく思い切ってコウタに尋ねた。

着せられた服を指で玩ぶようにしながらコウタの答えを待っていた。

判らない・・・。なんでこんな格好してるのよ??

「真奈美はこれから俺とデートね。」

・・・・・・・・・・今なんと??

「・・・デート?」

「そ、じゃぁ行こうか。」

コウタは大きな目をぱちくりとさせている真奈美の手をとった。

「ちょ、ちょっと待って・・・。だから意味がわからないって。デート?何で?この服は?一体なんなの?判る様に説明して!!説明してくれないなら帰る!!」

真奈美は、コウタに握られた手を解きながら疑問に思う事をすべて吐き出し、コウタの顔を覗き込んだ。

「その服気に入らない?」

「は?そんなこと無いけど・・・。」

「似合ってるよ」

「あ・・ありがと・・・じゃなくてさぁ〜」

う〜〜うまい具合に流されるところだった・・・。この至近距離でニッコって笑いかけるのは反則じゃない!? 冗談抜きでクラッときちゃう。

「あはは、冗談です。あっ服はすごく似合ってるよ。・・・今日はいろいろとお世話になったという事で、お礼をさせていただけませんか?」

かしこまった様な言い方をされて真奈美は一瞬と惑うも、コウタに聞いた。

「・・・お礼?」

「そっ!お礼。・・・といっても、御礼になるかどうかは判んないけどね。 取りあえず、軽くなんか食べにいこう。服はそのまま着てもらえると嬉しいんですけど・・・。 ダメ?」

そんな捨てられそうな子犬みたいな目で見るのやめてよ〜。こっちが悪いことしてる気になる!!!!

「ダメって言うか・・・なんと言いますか。」

う〜〜んなんていったらいいんだろう。一体いくらするかはわかんないけど、この服だっていくらするか分かんないのに・・・。 シックな感じのワンピースなんだけど、デザインが落ち着いているのに地味には見えないし、明らかに高そうなんですけど〜〜〜〜。

「俺はちゃんと説明したから、拒否権はナシね。じゃ行こうか〜〜」

「・・・え〜〜〜。」

真奈美は引きずられるように店を出た。


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「いい加減機嫌直りませんか?」

「ムリ!!」

真奈美はあきらめてコウタに付き合うことにしたものの、先ほどコウタは明らかに高級感漂うイタリアンのお店に行こうとした為、 それだけは嫌だと思いっきり反対したのだ。そしてもっと気軽に入れる店がいいと言い、こちらの店に来たのだ。

アットホームな感じのするこの店は、コウタのお気に入りのようでお勧めの料理を何品か教えてくれた。

メニューを見てもなかなか決められなかった真奈美は、コウタに任せることにしたのだ。

真奈美はコウタが何の承諾もなしに、高級イタリア料理店に行こうとしたことに腹を立てていた。

まったく何を考えてるんだか・・・。

コウタは苦笑いをしながら真奈美を見つめていた。


「おいしそ〜〜」

険悪になりそうなムードであったが、料理が運ばれてくるや否や真奈美の関心は料理一色になったようで楽しそうに食事を始めた。

先ほどまでの怒りはどこへやら・・・。真奈美はすっかり料理にのめり込み、コウタと自然と談笑していた。

会話の内容はお互いに好きなもののことであったり、最近のことであったり、ごくごくありふれたことであった。会話と言ってもコウタが真奈美にいろいろ聞いていたと言うのが正しいのかもしれない。

コウタって、綺麗に食事するんだよね・・・。箸とかフォークとかの使い方すごく綺麗だなぁ・・・。



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「ねぇ・・・どこ行くの?」

先ほどの店の料理は美味しかったが、これから他にも行くとこがあるというので軽めの食事にしたのだ。

コウタはさり気なく真奈美の右手をとり、歩き出した。

「出来るなら二人で居たいんだけどね・・・。」

コウタの言葉は小さく夜の騒音に紛れてしまった。

「あ、あの、なんか言った?」

コウタが何か言ったのは判るものの内容が聞き取れていなかった。

「いや・・・。社会見学といきますか。」

「??社会見学?」

「うん、落し物回収ってほうが正解かも。」

「よくわかんないんだけど・・・。」

先ほどの食事のときの会話から、真奈美はコウタに対し信頼を置いていた為深く考えなかった。 それより何より真奈美には気になることがあった。

「・・・あの、この手はちょっと」

真奈美はバツが悪そうにコウタに告げた。

「え?だめ?」

コウタは繋がれている手を少し高い位置に上げて、真奈美を見た。

「いや、あの、・・・。人と手を繋ぐのに慣れてないって言うか、苦手というか・・・。」

「別に、とって食うわけじゃないんですけど・・・。それにはぐれたくないし。それとも個人的に俺だから嫌だとか?」

「本当に深い意味は無いんだけど・・・前から手を繋ぐのは苦手だったの。」

真奈美は焦っていた。手を握られると言うこと自体は平気なのだが、手を繋いで歩くというのがどうにも苦手であった。 特別にコウタを嫌ってのことではないのだ。

「じゃぁさ、彼氏とかはどうなわけ?普通手を繋いだりしない?」

「・・・へ?あ〜私は手を繋いだりは・・・掴まってるほうが・・・。」

あ〜〜んもうなに言ってんだ??コウタ呆れるよ。

「掴まるって?」

「えっと腕に・・・。もう、これが癖みたいなもんで・・・。」

真奈美は慌てて答えた。そんな真奈美を見てコウタは笑った。そして、真奈美の手を離してから言った。

「じゃぁ、俺にちゃんと掴まって。掴まらないなら強制的に手を繋いで貰います。」

「腕掴まれるの嫌じゃない?私これ結構癖になってるみたいで、気を付けないといろんな人にやっちゃうんだよね・・・。 腕に掴まると皆結構驚くから・・・。」

「嫌じゃないから掴まって、でないと・・・」

「わかりました〜〜、ではお邪魔します。」

真奈美はすっとコウタの腕に自分の腕を絡めた。

コウタは真奈美が自分の腕に掴まった事を確認すると一度真奈美に笑顔を向けてから歩き出した。

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