おいしいご飯 真奈美を無理やりここに連れてきてから数日。 基本的な生活習慣が違う俺たち。 それでも、一緒の時間が欲しくて、眠気を堪えて食卓につく。 そう・・・・・朝食は一緒に。 朝食を一緒に食べようと言ったのは、他でもなく俺自身。 真奈美は俺の睡眠時間を気にしてなかなか承諾してくれなかった。 それでも、あーだ、こーだと言って何とか真奈美の説得を試みた。 唯一つ真奈美に条件を出された。 朝食の準備は真奈美がするので、それが出来るまでは大人しく寝ていること。 というものであった。 そんな条件に二つ返事で答えて俺たちの朝の時間は確保された。 初めての朝食。 俺は目の前に広がった料理に驚いた。 コーヒーの香りで頭がすっきりしてくる。 目の前の料理がクリアになっていく。 ・・・・これ全部真奈美が?? そこには前日俺がふざけ半分でリクエストした洋食屋さんのような料理があった。 サラダにスープ、パン。ふわふわのオムレツ・・・。 俺が思い描いていたものがそこにあった。 俺が無言だったせいか、真奈美が不安げな目で俺を見ていた。 「なにか気にいらない?」 そんな風に問われて俺は慌てて否定した。 「嬉しくて・・・。」 もっと気の聞いた事を言いたいといつも思っているのだが、真奈美を前にすると 気持ちの半分も伝えられない。 そういえば、真奈美の手料理を食べるのもこれが初めてか・・・。 なんだか嬉しくなって、思わず顔が緩んでしまう。 「いただきます」の声とともに俺たちは食事をする。 おいしいご飯は、こんなごくありふれた日常にある。 ただそこに居るだけで俺の日常を変えていることに気が付いているのか? わざわざ確かめることは無いだろう それでも、こうやって俺だけのために朝食を用意してくれて、 この時だけは俺を見ていてくれる事が分る。 それだけで俺の中の何かがゆっくりと満たされていく。 朝の時間がゆっくりと過ぎていく。 この時がいつまでも続いていく事を願わずにはいられない。 どうかいつまでも・・・・・・・・・・・。 |