2人の空間 ここだけが、そのまま時の流れを止めてしまえばいいのに・・・。 真奈美を抱きしめるとき、そんなことが頭を過ぎる。 現実にありえないと知りながらも、抱きしめる腕に思わず力がこもってしまう。 腕の中に、真奈美の温かさを感じる。 昨夜も、いつものように真奈美の眠っているベットに潜り込んだ。 そのまま、時の流れが止まる事を願ってしまった。 真奈美の温もりを感じながら・・・。 自分自身、バカな事を。と思っている。 それでも、2人の空間を望んでしまう。 誰にも介入されない・・・。 そんな空間を。 「うぅ〜〜ん」 真奈美が身じろぎをする。 少し、きつく抱きしめたからかもしれない。 腕に込めた力を抜き、そっと真奈美を解放する。 先程まで、この腕に感じていた温もりがそっと消えていく。 俺が望む二人の空間は、手を伸ばせばすぐそこにあるのだろうか。 それとも、この温もりのように、消えてしまうのだろうか・・・。 目に見えない未来は、希望であり、残酷でもある。 過ぎ去った過去は?? 傷つけた事実は消えない。 失ったものは、二度と手に入らないのだろうか? 変えることの出来ないものは、未来か過去か・・・。 俺は何を得て、何を失うのか? 欲しいものは、たった一つなのに。 |