他人




一人になる自分だけの空間。

それが俺が俺である為に必要不可欠のものであった。

誰にも邪魔されないプライベートな場所。自分だけの・・・。

そういう場所が欲しくてマンションを購入した。

部屋数が多めなのにはいろいろ訳があるが、ここに連れてくる人間は限られている。


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最近の俺はどうだろう??


真奈美を半ば無理やりここに連れてきた。

絶対的なプライベート空間を必要とする俺が、ここに人と住む事を一体誰が想像した!?

俺自身今でも驚きである。



他人と一定の距離を持って生きることが楽なのを俺は知っている。

だから、他人と暮らすってのは少し前の俺の中では想定外だ。

しかも、うちに居るときには必ずといっていいほど真奈美の気配を探してしまう。



今の俺の日常は「真奈美が〜〜〜だ」とか「〜〜〜は真奈美だ。」とか・・・。

そんなことばかり。



疲れたときに一人になって休みたい。

そんな風に思っていたのに・・・・・

真奈美の存在は擦り切れそうな自分のココロを安定させる。

今までどんなに親しい人でもこんな風に暮らそうとは思わなかった。

せいぜい2、3日が限度だろう。



真奈美は俺との生活をどう思っているのか?

面と向かって不満を言われることは無いが、急に出て行ったりはしないだろうか?

そんな事を考えると、一人で居ることが嫌になる。

他人とここまで時を共有することは無かったのに、今はそれが無いと苦しい。



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俺と真奈美はまったくの別固体であり、他人である。

なにを思い、なにを考えているのか分らない。



真奈美はきっと俺の事をさほど知らないだろう。

他人と距離を持って生きるのは真奈美も同じだと思う。

でも俺は真奈美が思っている以上に真奈美の事を知っているつもりだ。

俺の知っている真奈美が真奈美のすべてだとは言わないが・・・。

それでも真奈美の事をもっと知りたいと思う。






他人は他人、自分は自分。

そう言って殆どの人間に興味を示したことは無かった。

上辺だけの優しさに思いやりに行動。

自分の今までの生き方を否定するつもりは無い。

間違いだとも思わない。





それでもたった一人、俺の人生でことごとく例外を作り上げる人・・・。


それほどまでに、俺の中で特別の存在である事を真奈美は知らない。




所詮、人ってのは他人より自分が大事な生き物だろ。



そう思っていたのに。





   俺の大切にしたいモノは俺じゃなくて・・・・・・。


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