ごみ捨て当番 一人暮らしのときは特に気も留めなかった行為が、少し新鮮に感じる。 この新鮮さがなんだか心地よい。 真奈美と一緒に生活するうえで、「当番を決めよう」と言う話になったが、断った。俺としてはいてもらえるだけでいいんだけど・・・。 ただでさえ、家賃を払っていないからと、真奈美が気にしているのは知っていた。 かと言って、ここは賃貸のマンションじゃないし、金に困ってるわけじゃないから、一円だってもらう気は無い。そもそも俺か半ば無理やりつれてきたのに。 同居初日。真奈美と当番の話になった。 自分のことは自分ですること。 プライバシーの侵害だとかそういったことを今更気にするような間柄ではないが、一個人としてのお互いを尊重する。 それが同居の一番初めに決めたことであった。 しかし、どうにも割り切れないことが出できたりもした。掃除だったりゴミ捨てだったり。部屋全体の掃除は定期的に委託してある為どちらかが放っておいたからといって埃まみれになることは無い。 「何もかもしてして貰ってばかりじゃいやなんだけど・・・」 「う〜〜ん・・・そうは言ってもね。」 本当にこのお嬢様には参る。普通の女だったらわざわざ面倒なことなんて引き受けたがらないだろうに・・・。 普通自分からなにか懇願して面倒なこと引き受けるなんてしないのに。 「じゃあゴミ捨ては私が行くよ。」 ・・・・・・・・・・・はぁ?? 「それこそ俺が行くよ。」 「え〜〜なんでよ。私いけるよ??」 ホントにこの人は分ってない。ビンや缶なんて重いだろーが!! 「いや俺が行く。これは決まり。文句は受け付けません。以上」 「え〜〜なんでよ・・・。」 いくら真奈美の為とはいえ言い過ぎたかな。しゅんとした真奈美を見て少し罪悪感・・・。 「じゃあこうしよう?捨てに行くのは俺がやるから、分別の類は頼んでいい?」 「うん、いいよ。・・・・・でも、無理な時は言ってね。」 「わかった。」 「・・・・ありがと」 ・・・・・・ 「はぁ?なにが?」 一体今の流れでお礼を言われる必要は無いと思うけど・・・。 「私が過ごしやすいようにしてくれて、・・・ありがと」 こーゆーところがやっぱり真奈美なんだと思う。真奈美に必要以上に気を使わせない為に、俺があえて仕事を分担したことに気がついてる。 人の思いって言うか、考えに敏感で・・・本当に参るな。そんな風にストレートにお礼を言われるなんてね。 ただただ甘える事を良しとしない、そんなところも愛らしくてたまらない。 纏められているゴミをもって部屋を後にする。 ゴミを捨てに行くたびにあのときの会話が思い起こされる・・・そしていつもより暖かい気持ちにしてくれる。 今日は出来るだけ早く帰ろう。生活時間の違う真奈美と少しでいいから時を共有したい。 二人で囲むテーブルに添える花を手に・・・。 その先に、君の笑顔がある事を願って。 |