い ち ご ― 1 ― 天真爛漫な性格である。 ただいま思春期真っ只中の15歳。 ・・・報われない恋をしています。 私にはずっとずっと好きな人がいる。 小さいころからずっと見つめてきた・・・。 でも、あの人は私の手の届かない人。 大好きなさくらお姉ちゃんの彼氏なんだもん。 隣のうちの司お兄ちゃん、私の初恋の相手で無理だと知りつつも、今も思い続けているの。 悲しいけど、さくらおねえちゃんと司お兄ちゃんが一緒に居るのは、絵になるって言うか、なんていうか、敵わないな・・・って素直に感じてしまう。 だからと言って、この恋心をそう簡単に消すことができなく、ずるずると引きずって今日に至るってわけ。 司お兄ちゃんに告白して、振られたらそれこそ諦めがつくかもしれない・・・・でも、彼女の妹としてでも笑いかけてくれるならって思うと、何もいえない。 あの笑顔を失うことが怖くて堪らないの。 本当は「妹」なんかじゃ嫌・・・。彼の特別な人になりたい。 そんな夢みたいなことを願い続けている。 初めて彼に会ったときのこと覚えてはいない。 なんせ、お隣さんだから・・・物心ついたときには側にいた人だった。 あの優しい眼差しに惹かれていた。 気がついたときには、さくらおねえちゃんと付き合っていた。 私の叶わない思いはいつまで続くのだろう・・・。 さくらお姉ちゃんは、誰がどう見たって非の打ち所のない美人だ。 ぽやぽやしている母の代わりに、私たち姉妹の面倒もよく見てくれている。 優しく、春の日のような微笑を保ち、シャンとした背筋をした完璧な人だ。 私自身、いままで何度となく悩みを打ち明け助けられたことどろう。 そんなさくらお姉ちゃんに一度も明かせない悩みが、この”報われない恋心”だ。 春に咲く美しい桜の花・・・何一つかなうところのない自分が情けない。 |